看護師資格や医師免許を保有していない介護士は、原則として医療行為を行ってはいけません。
しかし、一部の医療行為は、介護士であればできる場合があります。
その中でも代表的なのは排便に関するもので、ストーマに溜まった排泄物の除去は医療関係の免許がなくても行えます。
また、自然排便ができない人に対して、市販の浣腸器を使って排便を促すことも可能です。
ただし、肛門に指を入れて便を掻き出す摘便は許されていないので注意が必要です。
そして、耳垢を取り除く、爪を切ったりやすりで削ったりするといった日常的なケアも、厳密には医療行為ですが、介護士は行っても問題ないとされています。ただ、耳垢の場合は、耳の穴が垢で塞がれていないことが条件となります。
また、これらの医療行為はあくまでも、高齢者に異常が見られないことが条件となります。
もし行っていて異常が発生したり、行ったら異常が出ると考えられたりする場合は、医師に任せなければなりません。
さらに、医師免許ではなく、介護福祉士の資格を持っている介護士ができる医療行為もあります。
それは痰の吸引と、経管栄養です。
痰の吸引は専用の器材を使用して吸い出すもので、自分で痰を飲み下したり吐き出したりすることができない人が対象です。
そして経管栄養は、管を用いて腸や胃に直接栄養を送ります。
食べ物を飲み下すことができない人や、胃に問題がある人など、幅広い人が対象となります。
この痰の吸引と経管栄養はいずれも介護福祉士の養成課程で受ける研修で、具体的な内容を学ぶことができます。